英国の麻薬組織が資金洗浄目的でミームコインを発行したと報じられる

英国の麻薬組織が資金洗浄目的でミームコインを発行

英国の麻薬組織が資金洗浄を目的としてミームコインを発行した事が判明し、英国の仮想通貨業界における初の犯罪行為となった。

英国の麻薬組織が独自の仮想通貨を発行した。専門家によると、詐欺、麻薬取引、恐喝に関与する英国のストリートギャングが、OneCoin型のミームコインを発行させ、投資家に「投げ売り」することで不正な利益をロンダリング。ミームコインはマネーロンダリング（資金洗浄）を簡素化し、組織が合法的な形態で不正な収益を誇大宣伝し、水増し、換金することを可能にするという。

デイリー・メール（Daily Mail） によると、このミームコイン・ロンダリング計画を暴露した専門家で麻薬犯罪専門家のゲイリー・キャロル（Gary Carroll）氏は、あるギャングの「中堅」メンバーがミームコインを発行しており、数十万ポンドの資金を持っていると主張した。

このギャングは中規模で活動しており、恐喝、詐欺、麻薬密売、偽造品や密輸タバコの販売で資金を稼いでいるという。同メディアもキャロル氏も情報源の身元を守るため、問題のミームコインの具体的な内容を明らかにしていない。

キャロル氏は、このギャングは少なくとも15年間、仮想通貨をマネーロンダリングに利用してきた人物であり、ミームコインによって、彼らはさらに容易な方法を見つけたと指摘している。キャロル氏によると、ギャングはオンラインでの宣伝キャンペーンを通じてコイン価格を吊り上げようとしているという。価格が上昇したら、彼らはコインを売却して現金化。彼らは、その収益を麻薬販売ではなく、仮想通貨事業による正当な収入として偽装しようとしていると指摘したうえで、次のように述べている。

たとえコインがわずかに上昇したとしても、売却前に多額の利益を上げることができる。その利益は、麻薬ではなく仮想通貨起業によるものと見せかけるだろう。

キャロル氏は、この“あるギャング”について、「よく知られた名前ではない」と述べた。一方で同紙は、問題のコインが、世界的な捜査を引き起こした数十億ドル規模の仮想通貨ねずみ講であるOneCoin（ワンコイン）と「類似点がある」と認めた。

今後の犯罪トレンドの可能性も

ギャングがミームコインに目を向けたのは今回が初めて記録された事例かもしれないものの、仮想通貨エコシステムの現状を考えると、今後トレンドになる可能性が高い。

ローンチパッドは、ミームコインをローンチし、ソーシャルメディアで宣伝することを非常に容易にし、今年（2025年）だけでも、ミームコイン詐欺、パンプアンドダンプ、ラグプル（偽札を盗む詐欺）によって、市場は数十億ドルの損失を被っている。そのため、当然のことながら、違法行為者やギャングを引きつけ、彼らにとってより便利なマネーロンダリングの経路を提供している。

Merkle Scienceが2025年2月に発表した レポート によると、ミームコインをめぐる詐欺やラグプルは、2024年に世界中で5億ドル（約709億円）以上の損失をもたらしている。これらの事件のうち、75%はX経由で、19%はYouTubeが舞台となっていたことが判明。さらに、ソーシャルエンジニアリング（心理操作戦術）は、詐欺手法全体の44%を占めていた。

当 NEXTMONEY の2025年2月3日付け特集記事「 Pump.funが証券違反の疑いで集団訴訟に直面 」で報じているように、世界最大のミームコイン発行会社であるPump Funは、ミームコインの発行と取引が容易なことで多くの支持を集めてきたが、現在、Burwick Lawから訴訟を起こされている。同社は、Pump Funが「テロ資金供与、麻薬密売、その他の国際犯罪の温床」であり、マネーロンダリング対策規制を遵守していないと主張している。