クラーケンが米国で株式・ETF取引の手数料無料サービスを開始

クラーケンが米国で株式・ETF取引の手数料無料サービスを開始

米大手仮想通貨取引所 クラーケン （Kraken）は、米国株およびETF（上場投資信託）の取引手数料を無料化する新サービスを米国内の一部州で 開始 した。

Kraken rolling out stock & ETF trading…

“As demand for 24/7 global access grows, clients want a seamless, all-in-one trading experience.”

“Expanding into equities is a natural step for us, and paves the way for the tokenization of assets.” pic.twitter.com/3rMrQ8jRHt

— Nate Geraci (@NateGeraci) April 14, 2025

仮想通貨と伝統的金融商品の取引を同一プラットフォームで行えるようになり、利便性が大きく向上する。同社は2024年に証券ブローカーディーラーライセンスを取得しており、今回のサービスはそのライセンスを活用した新たな展開の第一弾とされている。提供地域は現在限定的だが、今後の拡大が予定されている。同社の取扱銘柄数は米国上場株式およびETFを合わせて11,000以上にのぼり、仮想通貨ユーザーにも馴染みやすい内容だ。さらに、上場資産の半数以上で分割株取引（フラクショナル・シェア）に対応しており、1株未満の単位で柔軟な投資が可能となっている。この機能により、小口投資家でも無理なく株式投資を始めることができる。

なお、今回のサービス開始により、以下のユーザー向けに現在利用可能だ。

アイオワ州、アイダホ州、アラバマ州、オクラホマ州、ケンタッキー州、コネチカット州、ニュージャージー州、ワイオミング州、ロードアイランド州に加え、コロンビア特別

仮想通貨と株式をまとめて管理、他社との差異化へ

この新サービスは、 FINRA の規制を受ける子会社 Kraken Securities LL を通じて提供されている。

ユーザーは複数のプラットフォームを切り替えることなく、仮想通貨・株式・現金・ステーブルコインを一括して管理・取引できる。クラーケンモバイルアプリやProアプリ、ウェブを通じて、資産クラスを問わず統合的に投資可能だ。クラーケンは仮想通貨の売買にも手数料無料のオプションを提供しており、1つのアプリで多様な資産をシームレスに取引できる環境を整えている。こうした統合型サービスは利便性の向上にとどまらず、RobinhoodやeToroといった競合との差別化にもつながる。

仮想通貨に強みを持つクラーケンが、伝統金融領域にも本格参入することで、ユニークな立ち位置を確立しつつあり、こうした取り組みは、あらゆるユーザーに向けた包括的な投資環境の整備を目的とした同社の方針に基づいている。

世界展開と資産トークン化に向けた布石

共同CEOのアルジュン・セティ氏は、「暗号資産は進化しているだけでなく、株式やコモディティ、通貨といった資産クラス全体の取引基盤となりつつある」と語り、24時間365日グローバルにアクセス可能なオールインワン取引体験への需要が高まっていると強調した。

今回の株式サービス参入は、現実資産を将来的にブロックチェーンベースのトークンへ変換するという長期的ビジョンの布石と位置づけられている。同社は「取引の未来は国境を越え、常時接続であり、暗号資産を基盤とする」とする考えのもと、この分野のリーダーを目指している。同社は今後、株式・ETF取引の対象地域や銘柄の拡充に加え、英国、ヨーロッパ、オーストラリアなどグローバル市場への展開を進める方針を示している。アプリの機能向上や新機能導入にも注力しており、段階的なアップデートが予定されている。

今回の動きは、仮想通貨取引所が証券業界に本格進出する象徴的な事例として注目されており、今後の業界構造にも大きな影響を与える可能性がある。