FTX、KYC未完了のユーザーに25億ドルの返済リスク

FTXユーザーへの返済申請に必要なKYC手続きは6月1日が期限

破綻した仮想通貨取引所 FTX のユーザー約40万人が、KYC（本人確認）手続きを期限内に完了しなかったことで、合計25億ドル（約3,700億円）相当の返済請求を失う可能性がある。

FTXは債権者に対して、KYCの完了を複数回にわたり通知していた。KYCは返済申請に必須の手続きとされており、最終期限は2025年6月1日とされている。この日までに必要な情報を提出しなかったユーザーは、返済対象から除外される恐れがある。この手続きはFTX、FTX.US、アラメダ・リサーチ（Alameda Research）を含む破産財団が監督しており、2022年11月の破綻以降、複雑な法的整理が進められている。

公式声明では、KYCを完了しないユーザーは「返済資格なし」と明記されており、申請済みの請求も無効とされる可能性が高い。

約40万人の債権が危機に、影響は個人投資家に集中

影響を受けるユーザーは39万2,000人に のぼり 、なかでも個人投資家の割合が多く、資金を預けていた一般ユーザーにとっては深刻な結果となりうる。

FTXは、債権者ポータルへの登録とKYC完了を返済条件として設定しており、通知はメールや公式チャネルなどで複数回行われていた。それでも多数のユーザーが手続きを完了できなかった背景には、技術的な問題や連絡の不達、手続きの複雑さなどがあるとみられている。

今後これらのユーザーに対して再通知や追加手続きの機会が設けられるかは不透明であり、多くの請求がそのまま消滅する可能性も出てきた。

返済プロセスの行方と仮想通貨業界への示唆

一部報道では、破産管財人が未対応ユーザーへの救済措置を検討しているとの情報もあるが、現時点で具体的な方針は示されていない。

FTXの返済スケジュールは2025年5月30日に予定されている次回の支払いを皮切りに本格化する見通しで、今回のKYC問題が公平な配分に影響を与える可能性がある。今回のケースは、仮想通貨業界においてKYCの重要性を再認識させるものとなった。中央集権的な管理が行き届かない環境においても、ユーザー側の対応が返済可否に直結するという実例であり、他の破綻案件でも同様の課題が指摘されることが予想される。

投資家にとっては、登録や本人確認といった基本的な手続きを怠らないことが資産保全に直結することを改めて示す結果となった。