「ビットコイン・ジーザス」ロジャー・バー、トランプ大統領に引き渡し回避を懇願

ロジャー・バー氏がトランプ大統領に引き渡し回避を懇願

“ビットコイン・ジーザス（Bitcoin Jesus、※ビットコインの神または教祖）”として知られるロジャー・バー（Roger Ver）氏が、米国への身柄引き渡しを阻止するため、ドナルド・トランプ（Donald　Trump）大統領に公に懇願していることが明らかになった。

2025年1月26日（日曜日）、バー氏は絶望的かつ直接的なツイートで、次のように投稿。

Mr. President, I am an American, and I need your help. Only you, with your commitment to justice, can save me @realDonaldTrump pic.twitter.com/WhVTZ1M1GB

— Roger Ver (@rogerkver) January 26, 2025

バー氏は2014年に米国籍を放棄しており、彼は今、100年以上刑務所に送られるかもしれない連邦罪に直面。郵便詐欺、税逃れ、虚偽の税務申告という3つの罪で2024年に起訴されており、IRS（米国内国歳入庁）からビットコインの所有を隠し、推定4,800万ドル（約74.5億円）の損失を引き起こした。

ビットコイン・ジーザスに上り詰めるまでの軌跡

同氏は1979年1月27日にカリフォルニア州サンノゼで生まれ、大学在学中の1999年、コンピューター部品を販売した経験からMemoryDealers.comを設立。

この会社は、彼のリーダーシップの下、市場で巨大なプレーヤーとなり、成功を収め、2005年には、光トランシーバーの専門会社Agilestar.comを立ち上げ、フォーチュン100社に顧客を持つまでになり、こうした初期のベンチャー企業の大成功が、次のステージを築いた。というのも2011年、同氏はビットコインがまだ1ドル以下であった頃にビットコインを発見。伝統的な金融システムを破壊する可能性に魅了されたと語っており、時間を無駄にすることなく、エネルギーと資金をビットコインに注ぎ込み、すぐにビジネスに取り入れている。

彼はまた、Blockchain.com、Kraken、Rippleのような現在の巨大企業を含む初期のビットコイン新興企業に個人的に100万ドル（約1.5億円）以上を投資したことで知られている。

仮想通貨に友好的な政策を打ち出し、すでに波紋を広げているトランプ大統領は、今やビットコインの初期の支持者の一人からの嘆願書の中心であり、トランプ氏はすでに、シルクロードの創始者であるロス・ウルブリヒト（Ross Ulbricht）氏を恩赦。2017年、バー氏がビットコインからビットコインキャッシュ（BitcoinCash/BCH）に忠誠を移したことで、仮想通貨業界を巡る同氏の旅は劇的な展開を見せた。ビットコインフォークは、より高速な取引と低手数料を約束し、同氏がビットコインの重大な欠陥と見ていたものに対処したとのこと。同氏は複数のインタビューで、ビットコインコミュニティが本来の理念を放棄していると批判しており、次のように語っている。

ビットコインは、価格が上がることを期待して保有するものではありません。PayPalやVisaよりも優れた金融システムを作ることだ。

ロジャー・バ氏はビットコインを弱体化させた日和見主義者なのか

バー氏は米国籍を放棄し、セントクリストファー・ネイビスの市民権プログラムを通じて市民権を取得し、政府の行き過ぎた政策に対する安全策と称して、第二のパスポートを持つことの重要性を語っている。

一方で、同氏はかつてビットコインをねずみ講と表現し、金の産業利用について理解不足のビットコイン最大主義者を批判。過去のツイートで「多くのビットコイン最大主義者が、金には価値貯蔵以外の用途があることすら知らないとは驚きだ」と述べている。

彼を先見の明があると称賛する人がいる一方で、ビットコインキャッシュを推進するためにビットコインを弱体化させた日和見主義者と見る人もいる。トランプ大統領は先週、大統領執務室で仮想通貨に関する大統領令に署名しており、2月中にバー氏がアメリカに戻る可能性も示唆されている。