ENSラボがペイパルとベンモとの提携を発表し、仮想通貨決済の普及が大きく進む可能性がある。これにより、仮想通貨保有者が10億人に達する道が開けるかもしれない。

人間が読みやすい仮想通貨アドレスをつけるENSは、最近決済大手のペイパルとベンモに統合された。世界で最も広く使われているペイメントアクワイアラーであるこれらのサービスにより、ENSユーザーネームを通じて仮想通貨取引が容易になる。

この新たな統合は、仮想通貨決済の主流化につながる可能性があると、ENSラボのビジネス開発ディレクターであるマルタ・キュラ氏はコインテレグラフに語った。

「ペイパルとベンモとの統合はENSを超えるものであり、異なる決済プロバイダーやさまざまなビジネスモデル、Eコマースとのユースケースを開くことになる」とキュラ氏は述べた。

ENSネームは、複雑で42文字にも及ぶ16進数のイーサリアムベースの仮想通貨アドレスを「トーマス.eth」のようなシンプルなニックネームに置き換える。これにより取引が簡素化され、人為的なミスのリスクが減少する。

Duneデータ によると、ENSネームは200万件に迫っており、総計194万件のENSネームが88万8000人以上のユニークな参加者によって作成されている。

ENS names dashboard. Source: Dune

 

仮想通貨の主流採用には伝統的な金融が必要

Web2とWeb3のユーザーを統合するには、現実世界でのユーティリティを持つブロックチェーンソリューションが必要だ。

しかし、仮想通貨決済の採用は伝統的な金融（TradFi）の企業の採用にも依存すると、ENSのキュラ氏は説明した。

「私たちは慣れているスピードから一歩下がり、伝統的な金融の既存のレールと協力する必要がある」と語った。

キュラ氏はさらに、Web3は伝統的な金融の影響力から利益を得ることができるが、TradFi企業との提携には、厳格な承認とガバナンス手続きがあるため、時間がかかると付け加えた。

ENSネームがアドレスポイズニング詐欺を防止する

ENSのWeb3ユーザーネームがもたらすユーザー体験の向上により、増加するアドレスポイズニング詐欺の事例を終わらせることができるかもしれない。

アドレスポイズニングは、攻撃者が潜在的な被害者のアドレスに非常に似たウォレットに少量のデジタル資産を送り、そのウォレットの取引履歴の一部にすることで、被害者が誤って資金を彼らのアドレスに送るよう誘導する詐欺手法だ。

5月初旬、不運なトレーダーがアドレスポイズニング詐欺で6800万ドルを失った。わずか1回の取引で彼の資産のほとんどが不正なウォレットに送られたためだ。

約7000万ドルの損失は、ENSユーザーネームがあれば簡単に避けられたとキュラ氏は説明した。

「この状況は、もしこの人がENSネームを使っていれば簡単に避けられたはずだ。7000万ドル（約10億4320万円）は非常に大きな損失だ...毎日、多くの人が資金を失っている。彼らはその一文字が間違っていることに気づかなかったためだ」

幸運だが不思議な展開で、5月13日に窃盗犯は6800万ドルを返還した。多数のオンチェーン調査員が彼の潜在的な香港に拠点を置くIPアドレスを明らかにし始めた後のことだ。

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