今年承認された複数の現物型ビットコイン上場投資信託（ETF）の登場で、ビットコインへのエクスポージャーを求める投資家がマイクロストラテジー株を取引する理由がほとんどなくなるかもしれない。投資会社ケリスデール・キャピタルが最新のレポートで指摘している。

「マイクロストラテジーの株式がビットコインへのアクセスを得るための稀有でユニークな手段であった時代はすでに終わった」と、ケリスデール・キャピタルは 3月28日のアナリストノート でのべ、マイクロストラテジー（MSTR）の株価は過大評価されていると付け加えた。

同社はマイクロストラテジーの株に対して空売りのポジションを持っている。「我々はビットコインをロングしているが、その価値を生み出すデジタル資産と比較して不当なプレミアムでビットコインの代替手段として取引されているマイクロストラテジーの株をショートしている」と述べた。

現在、MSTRは1704ドルで取引されている。過去1ヶ月で66.65％の上昇を見せ、過去6ヶ月間には約419％の上昇を経験した。

一方、ビットコインの価格は現在7万0849ドルで、1ヶ月で15.8％増加し、過去6ヶ月で163.31％の上昇を記録している。

「マイクロストラテジーの株式は最近のビットコイン価格の上昇に伴い急騰したが、仮想通貨の世界ではよくあることだが、事態が過熱している」とケリスデール・キャピタルは指摘している。

マイクロストラテジー株は「過大評価されている」 投資会社がレポートで指摘 image 0 ​​MSTR stock price has risen 419% over the past six months. Source: Google Finance

また、マイクロストラテジーの負債対資産比率の上昇とキャッシュフローの問題にもケリスデール・キャピタルは指摘する。ケリスデール・キャピタルによれば、2023年には「休眠状態の」ソフトウェアアナリティクス事業からわずか1000万ドルしか生み出しておらず、これは同社の全体的な企業価値のわずか3％にすぎない。

セイラー氏「ビットコイン戦略は成功」

12月にブルームバーグTVに対し、マイクロストラテジーの創業者兼会長のマイケル・セイラー氏は自社がビットコインに投資する人々に優れた投資手段を提供し続けるだろうと語った。「ETFはレバレッジがなく、手数料を請求する。我々はレバレッジを提供するが、手数料は請求しない」とセイラー氏は述べた。

セイラー氏は最近、マイクロストラテジーが「ビットコイン開発会社」としてリブランドしていることを発表した。 2月12日のCNBCとのインタビュー で、セイラー氏は「我々のビットコイン戦略の成功と、世界最大の公開企業ビットコイン保有者としてのユニークな地位を考えると、自然な決断だ」と語った。

ビットコイン・トレジャリーズ のデータによると、マイクロストラテジーは21万4246BTCを保有している。これは1年前の13万8955BTCから約54％増加している。

セイラー氏はさらに、投資信託と比較して、運営会社としては資本と運営の管理においてより柔軟性があると付け加えた。「我々はソフトウェアを開発し、キャッシュフローを生み出し、資本市場を活用する。これはすべて、我々の株主のためにさらにビットコインを蓄積し、ビットコインネットワークの成長を促進するためだ」と彼はのべた。

3月19日、マイクロストラテジーが9245BTCを追加購入するために6億400万ドルの転換社債を 発行した 。

ケリスデール・キャピタルはビットコインに対して引き続き強気であり、投資家により優れた直接的な価値があると主張している。また、新たに承認された2つの現物型ビットコインETF、ブラックロックのiシェアーズ・ビットコイントラスト（IBIT）とフィデリティのフィデリティ・ワイズ・オリジン・ビットコイン・ファンド（FBTC）に長期的なポジションを持っていることもケリスデール・キャピタルは明らかにした。

同社は株主にとって、この段階でMSTR株を保有するよりもビットコインを直接所有することが同等の価値をもたらすと主張している。「株主価値の創造は、ビットコインを直接所有した場合と同様に、単純なビットコイン価格の上昇によって圧倒的に牽引されている」。